革クリーニング家庭で失敗しない!プロが教える洗い方のコツ

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革クリーニング家庭で失敗しない!プロが教える洗い方のコツ

お気に入りの革ジャンや大切にしている革財布、気づけば汚れや黒ずみが…。「クリーニングに出したいけど、料金も高いし時間もないし…」なんて、お家でなんとかできないかな?と悩んでいませんか。

革の汚れ落としに家にあるものが使えたり、革製品を家で洗う方法があったりしたら、嬉しいですよね。

結論から申し上げますと、革クリーニングは家庭でもある程度までなら可能です!ただし、革のクリーニングを自分でするのは、素材や汚れの種類によってはリスクも伴います。

特に白いレザーの汚れ落としや、革製品の汚れに「激落ちくん」のようなメラミンスポンジを使うのは要注意。革財布の水洗いに中性洗剤を使ったり、革の汚れ落としにハンドクリームや100均グッズで応急処置したりする方法もありますが、革コートやブランドバッグはプロに任せた方が安心な場合も。

この記事では、革財布のクリーニングを自分でする具体的な方法から、気になる革財布や革コートのクリーニング料金、例えば白洋舎のバッグクリーニング料金との比較まで、徹底的に解説していきますね!

この記事のポイント
  • 家にあるものでできる革製品の基本的な手入れ方法
  • 革財布を自分でクリーニングする具体的な手順と注意点
  • 自分で手入れする場合とプロに依頼する場合の料金比較
  • 革製品を傷ませずに長持ちさせるためのメンテナンスのコツ
洗濯博士ひなた

こんにちは!あなたの洗濯ライフを応援する、洗濯博士のひなたです。革製品って、素敵だけどお手入れが難しいイメージがありますよね。でも、実はちょっとしたコツを知るだけで、家庭でもできることはたくさんあるんです。

「難しそう」という気持ちのハードルを下げて、大切な革製品と長く付き合うための第一歩を、一緒に楽しく踏み出しましょう!私が全力でサポートしますね。

目次

革クリーニング家庭でできることと注意点

革クリーニング家庭でできることと注意点

革の汚れ落としは家にあるもので可能?

はい、結論から言うと軽い汚れや日常的なお手入れであれば、家にあるもので実践することは十分可能です。革製品専用の高級なクリームやクリーナーをずらりと揃えなくても、キッチンや洗面所にある身近なアイテムが、意外なほど活躍してくれる場合があるんですよ。

例えば、表面についたばかりのホコリや手垢などの軽い汚れは、使い古したTシャツの切れ端やメガネ拭きのような柔らかい布での乾拭きが基本中の基本です。これだけでも、汚れが革の繊維に染み込むのを防ぐ効果があります。

また、少し頑固な黒ずみには、文房具のプラスチック消しゴムが有効なことも。このとき使うのは、必ず新品のキレイな角にしてくださいね。使いかけだと、消しゴム自体の汚れが革に移ってしまう可能性がありますから。

さらに、革の乾燥を防ぐ保湿ケアとして、ワセリンやハンドクリーム、ボディクリームを代用する方法も広く知られています。これらのアイテムは油分を含んでいるため、革に潤いとツヤを与えてくれるのです。

ただし、ここで一番強調したいのは、これらがすべてあくまで「応急処置」や「代用品」であるという点です。革は、なめし方や染色、仕上げの方法によって多種多様な性質を持っています。

人間の肌と同じで、安易に専用でない化粧品を使うと肌荒れを起こすように、革も素材との相性が悪ければ、シミになったり、硬化したり、風合いを損ねたりするリスクを伴います。

家にあるもので手入れをする際は、「いきなり本番はNG!必ず目立たない部分でパッチテストを行う」という鉄則を、絶対に忘れないでくださいね。


革クリーニングを自分でする基本

革クリーニングを自分でする基本

革製品のクリーニングを自分で行う上で、最も大切な心構えは「汚れを溜め込まない、日々のこまめなメンテナンスこそが最良のクリーニングである」ということです。ガンコな汚れになってから大掛かりな洗浄をするのではなく、日々のちょっとした一手間が、革の美しさと寿命を大きく左右するんですよ。

まず、どんな革製品にも共通する基本の「き」は、ブラッシングです。一日の終わりや、しばらく使わないで保管する前に、馬毛などの柔らかいブラシで表面のホコリやチリを優しく払い落とす習慣をつけましょう。縫い目やシワの部分は汚れが溜まりやすいので、特に念入りに。これだけでも、ホコリが湿気を吸って汚れとして固着するのを防げます。

プロが実践する革のお手入れ基本サイクル

革製品を長く美しく保つためには、以下のサイクルを意識した定期的なメンテナンスが効果的です。

  1. ブラッシング・乾拭き(使用後毎回):革の表面に付着したその日のホコリや軽い汚れを取り除きます。これが汚れの蓄積を防ぐ第一歩です。

  2. 汚れ落とし(月1回程度):専用のレザークリーナーや固く絞った布で、乾拭きでは落ちない皮脂汚れや部分的な黒ずみを優しく拭き取ります。

  3. 保湿・栄養補給(1~3ヶ月に1回):革も人間の肌と同じで乾燥します。革専用のデリケートクリームやオイルを薄く塗り込み、油分と潤いを補給してひび割れを防ぎます。

  4. 保護(保湿とセットで):保湿ケアの最後に、防水・防汚スプレーを吹きかけておくと、水濡れや汚れの付着を予防できます。このコーティングが、次のお手入れを楽にしてくれるんですよ。

家庭でのセルフクリーニングは、この中の「汚れ落とし」と「保湿」の部分を、身近なもので代用する方法と捉えると、挑戦しやすいかもしれませんね。

すべてを完璧にこなす必要はありません。まずは基本のブラッシングや乾拭きからでも、ぜひ始めてみてください。

専用の製品はもちろん革との相性を考えて作られているので最も安心ですが、日々のケアを怠らないことが、結果的に大掛かりなクリーニングを不要にする一番の秘訣なのです。


革製品を家で洗う方法のポイント

革製品を「洗う」となると、一気にハードルが上がりますよね。実際に、ほとんどの革製品は水洗いを推奨されていません。革は水分を吸うと油分が抜け、乾燥すると硬くなったり、縮んだり、型崩れを起こしやすい非常にデリケートな素材なのです。

それでも、ジュースをこぼしてしまった、全体的に汚れがひどいなど、どうしても洗いたい場合の重要ポイントがいくつかあります。これは自己責任で行う最終手段ですが、知っておくことで失敗のリスクを少しでも減らせます。

最重要ポイント:素材の確認

まず、洗う前に衣類の洗濯表示タグや製品の素材表示を必ず確認しましょう。消費者庁のウェブサイトでも詳しく解説されていますが、「家庭での洗濯禁止(桶に×印)」のマークがあるものは、家庭での丸洗いは絶対に避けるべきです。

また、スエード、ヌバック、ベロアといった起毛系の革は、水に濡れると毛が寝てしまい、元に戻らないため水洗いは厳禁です。表面が滑らかなスムースレザーであっても、色落ちやシミ、型崩れのリスクは常に伴うことを覚えておいてください。

失敗しないための「パッチテスト」は必須中の必須!

もし洗浄やクリーナーの使用を試す場合は、本番前に必ず製品の目立たない部分でテスト(パッチテスト)を行ってください。バッグの底の隅や内側の縫い代部分など、普段は見えない場所が最適です。

そこに水を含ませた白い布で軽く叩いてみたり、使用する予定の薄めた中性洗剤を綿棒で少しだけ付けてみたりします。数分置いてから、布に色が移らないか(色落ち)、革自体が変色したりシミになったりしないかをしっかり確認しましょう。

少しでも異変を感じたら、その方法はあなたの革製品には合わないということ。すぐに中止し、プロに相談する勇気を持ちましょう。

革製品を家で洗うという方法は、いわば「外科手術」のようなもの。まずは部分的な汚れを優しく拭き取る「内科治療」から試すのが、賢明な判断ですよ。


革財布のクリーニングを自分で試す

革財布のクリーニングを自分で試す

毎日手に触れる革財布は、手垢や皮脂、カバンの中の汚れなどが付きやすく、気づけば黒ずんでしまっていることも。ここでは、一般的なスムースレザー(表面が滑らかな革)の財布を想定した、家庭でできるクリーニングの具体的な手順を、プロの視点から詳しくご紹介します。

ステップ1:準備とブラッシング

まず、財布の中身をすべて空にします。カードや小銭、レシートなどを全て取り出し、お手入れしやすい状態にしましょう。

次に、馬毛などの柔らかいブラシを使って、全体のホコリや、縫い目(ステッチ)、カードポケットの隙間に入り込んだゴミを優しくかき出します。

この最初のひと手間で、後のクリーニング効果が大きく変わってきますよ。ブラシがない場合は、乾いた柔らかい布で丁寧に拭くだけでも大丈夫です。

ステップ2:クリーナーで汚れを拭き取る

革専用のクリーナーを、柔らかい布に少量(小豆大くらい)取ります。直接財布にクリーナーを付けるのはシミの原因になるのでNGです。布にクリーナーを馴染ませてから、まずは目立たない所で試しましょう。問題がなければ、全体の汚れを優しく円を描くように拭き取っていきます。

特に黒ずみが気になる部分は、力を入れずに何度も撫るように拭いてください。ゴシゴシ擦ると革の表面を傷つけ、色落ちの原因になるので絶対にやめましょう。

ステップ3:水拭きと乾燥

クリーナーの成分を革に残さないため、次に水で固く絞った別のキレイな布で、財布全体を優しく拭き上げます。その後、風通しの良い日陰で、完全に自然乾燥させます。水分が残っているとカビの温床になってしまいます。ドライヤーの熱や直射日光は、革を急激に乾燥させ、ひび割れや硬化を引き起こすので避けてください。

ステップ4:デリケートクリームで保湿

クリーナーで汚れと同時に油分も抜けてしまった革は、人間のお風呂上がりの肌と同じ。しっかりと保湿が必要です。革専用のデリケートクリームやコンディショナーを少量、指や布に取り、薄く均一に塗り込んでいきます。角やコバ(革の裁断面)の部分は乾燥しやすいので、忘れずに塗りましょう。

ステップ5:仕上げのブラッシングと乾拭き

クリームが革に浸透するまで少し時間(5〜10分程度)を置いたら、仕上げに乾いた柔らかい布や、仕上げ用の山羊毛ブラシなどで優しく磨き上げます。余分なクリームを拭き取りながら、革本来の自然なツヤを引き出してあげれば、お手入れ完了です。見違えるようにキレイになりますよ。


革財布の水洗いは中性洗剤で優しく

「拭き掃除では、もうどうにもならない!」そんな手強い汚れに直面した時、最後の手段として水洗いする方法が存在します。しかし、これは革にとって非常にリスクの高い「荒療治」であることを、まず念頭に置いてください。色落ち、縮み、型崩れ、硬化といった、取り返しのつかないダメージに繋がる可能性が十分にあります。

それでも挑戦する場合は、以下の手順と注意点を厳守し、すべて自己責任のもとで行いましょう。

【高リスク】革財布の水洗い 詳細手順

  1. 準備を徹底する:まず財布の中身を空にし、洗面器などに30℃以下のぬるま湯を用意します。熱いお湯は革が急激に縮む原因になるので厳禁です。

  2. 躊躇せず、一気に浸ける:ここが最重要ポイントです。革財布をぬるま湯の中に、一気に全体を沈めます。部分的に濡らしたり、少しずつ水に浸けたりすると、その境目がくっきりとしたシミになってしまうため、思い切りが肝心です。

  3. 優しく押し洗い:水の中で、革を揉みしだくのではなく、スポンジを扱うように優しく「沈める」「浮かせる」を繰り返す「押し洗い」をします。革同士をゴシゴシ擦り合わせるのは絶対にやめましょう。

  4. 中性洗剤で洗浄:一度水を替え、おしゃれ着洗い用の中性洗剤(エマールやアクロンなど)を数滴溶かします。洗剤の量はごく僅かで十分です。柔らかいスポンジの泡で、表面を優しく撫でるように洗います。アルカリ性の洗剤は革を傷めるので使用しないでください。

  5. 念入りにすすぐ:洗剤成分が残ると劣化の原因になるため、きれいな水を2〜3回替えながら、泡が出なくなるまでしっかり押し洗いしてすすぎます。

  6. 徹底的にタオルドライ:すすぎが終わったら、吸水性の高い乾いたタオル複数枚で革財布を優しく挟み、叩くようにして徹底的に水気を吸い取ります。雑巾絞りのようにねじるのは厳禁です。

  7. 形を整えて陰干し:カードポケットやお札入れにタオルやキッチンペーパーを詰め、型崩れしないように形を整えます。そして、必ず風通しの良い日陰で自然乾燥させます。完全に乾くまで、季節や湿度によりますが、最低でも3日~1週間は見ておきましょう。

  8. 最後の保湿ケア:完全に乾ききったら、革は油分が抜けきってカサカサの状態です。デリケートクリームやミンクオイルなどで、失われた油分を念入りに補給してあげて完了です。

この方法は、革の風合いを大きく変えてしまう可能性があることを、くれぐれも忘れないでくださいね。


革の汚れ落としにハンドクリームは有効?

革の汚れ落としにハンドクリームは有効?

【プロの常識】ハンドクリーム代用が革の寿命を縮めるワケ

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会などの専門機関は、ハンドクリームなど人間用の化粧品を革製品に使用することに警鐘を鳴らしています。その理由は、これらの製品に含まれるシリコンや香料、多量の水分が、革の自然な「呼吸」を妨げるためです。

革には目に見えない無数の毛穴があり、そこから湿気を吸ったり吐いたりすることで状態を保っています。ハンドクリームの成分がこの毛穴を塞いでしまうと、革内部の湿気が逃げられなくなり、カビの発生や加水分解による表面のベタつき・剥がれといった、回復不可能なダメージを引き起こす原因となります。あくまで緊急的な応急処置に留め、継続的な使用は避けるべきとされています。

(出典:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニングの知識に基づく専門家の見解)

「革の保湿にハンドクリームやニベアクリームが使える」という裏ワザ、インターネットや雑誌で一度は目にしたことがあるかもしれませんね。これは、半分は本当ですが、半分は大きな注意が必要な情報です。

確かに、ハンドクリームの主成分である油分やグリセリンなどの保湿成分は、革製品の油分を補い、乾燥によるカサつきや軽い擦れ傷を目立たなくする効果が期待できます。手元に専用クリームがなく、今すぐどうにかしたい!という時の応急処置としては、有効な場合もあります。

しかし、洗濯博士の立場からは、継続的な使用はあまりおすすめできません。その理由は、ハンドクリームが「人間の肌」のために作られているからです。

ハンドクリームを革に使う際の注意点

  • シリコンやポリマー成分:指通りを滑らかにするために配合されているこれらの成分が、革の「毛穴」を塞いでしまうことがあります。革は呼吸することで湿度を調整しているので、毛穴が塞がると通気性が悪化し、長期的にはヒビ割れやカビの原因になる可能性があります。

  • 水分と油分のバランス:人間の肌用クリームは水分量が多めに作られています。これを革に過剰に塗布すると、油分だけでなく余計な水分まで与えてしまい、シミや変質の原因になりかねません。

  • 香料やその他の添加物:製品に含まれる様々な化学成分が、革の染料と予期せぬ化学反応を起こし、変色や色落ちを引き起こすリスクもゼロではありません。

結論として、ハンドクリームは「何もしないで乾燥させるよりはマシ」というレベルの、あくまで緊急避難的な代用品と心得ましょう。

あなたの大切な革製品を本当にいたわるなら、やはり革のために開発された専用のクリームを使ってあげるのが、一番の愛情表現ですよ。


革財布の汚れ落としは100均グッズで

「革製品のお手入れって、道具を揃えるのが大変そうでお金もかかりそう…」そんな風に感じている方に、100円ショップは心強い味方になってくれます。探してみると、革財布の汚れ落としや日々のメンテナンスに活用できる便利なアイテムが意外とたくさん見つかるんですよ。

100均で探したい!革のお手入れお役立ちグッズ

  • 馬毛ブラシ(靴コーナー):革お手入れの基本、ホコリ落としに必須のアイテムです。100均のものでも、まずは一つ持っておくと日々のメンテナンスがぐっと楽になります。毛が柔らかいものを選びましょう。

  • マイクロファイバークロス(掃除用品コーナー):乾拭きからクリームの塗り込み、最後の仕上げの磨き上げまで、オールマイティに活躍します。複数枚用意しておくと便利です。

  • メイク用パフやスポンジ(化粧品コーナー):クリームを薄く均一に塗るのに最適です。指で塗るよりもムラになりにくく、細かい部分にも届きやすいのがメリットです。

  • プラスチック消しゴム(文房具コーナー):軽い手垢や黒ずみ汚れに有効な場合があります。必ず新品のキレイな角を使い、優しくこするのがポイントです。

  • シューズキーパー(靴コーナー):財布には直接使いませんが、革靴の型崩れを防ぐのに役立ちます。湿気を吸ってくれる木製のものだとさらに良いでしょう。

このように、100均グッズを賢く利用すれば、初期投資を抑えて革のお手入れを始めることができます。ただし、注意点として、専用品に比べると品質が劣る場合があることは否めません。

例えば、ブラシの毛が硬くて革を傷つけたり、クロスの繊維が抜けやすかったりすることも。大切な革製品に初めて使う際は、まず目立たないところで優しく試してみる、力を入れすぎない、といった配慮を忘れないようにしましょう。賢く、そして優しく使ってあげれば、日々のメンテナンスのハードルをぐっと下げてくれるはずです。


洗濯博士ひなた

どうでしょう?家庭での革クリーニング、少しイメージが湧いてきましたか?「意外とできそう!」と思った方も、「やっぱり難しそう…」と感じた方もいるかもしれませんね。

ここからは、家庭でのお手入れの「限界」と、やっぱり頼りになる「プロの技」について見ていきましょう。どんな時にプロに頼るべきか、その見極めが大事なんですよ!

革クリーニング家庭での限界とプロの料金

革クリーニング家庭での限界とプロの料金

白いレザーの汚れ落としの難しさ

【国民生活センターの事故事例】デニムの色移りは家庭では落ちない!

独立行政法人国民生活センターには、革製品に関する消費者トラブルが数多く寄せられています。中でも特に多いのが「白い革のバッグにジーンズの色が移ってしまい、自分で拭いても取れない」という相談です。

テストによると、一度革のコーティング層に染み込んでしまったインディゴ染料は、家庭用のクリーナーではほとんど除去できず、無理に擦ることでかえって汚れが広がったり、革の表面を傷つけたりするケースが多く報告されています。このような染料の「移染(いせん)」と呼ばれるトラブルは、家庭での修復が極めて困難なため、専門のクリーニング業者に相談することが強く推奨されています。

(出典:独立行政法人国民生活センター「かばんの「色移り」」

数ある革製品の中でも、白いレザーのバッグやお財布は、その清楚で上品な魅力とは裏腹に、お手入れの難易度が格段に高いアイテムです。家庭での完璧な汚れ落としは非常に難しいと心得ておく必要があります。

なぜ白い革がそれほど難しいのか、その理由をプロの視点から解説しますね。

  1. 汚れが「染み」になりやすい:白い革は、革の表面を白い顔料でコーティングして作られているものがほとんどです。このコーティング層に、ジーンズのインディゴ染料や雑誌のインク、コーヒーのシミなどが付着すると、単なる表面の汚れではなく、顔料の層にまで色素が「染み込んで」しまうのです。こうなると、表面を拭くだけでは除去できません。
  2. クリーナーで「剥げて」しまうリスク:汚れを落とそうと市販のクリーナーで強く擦ると、汚れと一緒に表面の白い顔料まで剥がしてしまい、まだら模様になったり、下地の色がうっすらと見えてしまったりする悲劇が起こりがちです。
  3. 経年による「黄ばみ」の問題:紫外線や空気中のガス、革に含まれる油分の酸化など、様々な要因が絡み合って、白い革は時間と共に徐々に黄ばんできます。この「黄変」は化学変化によるものなので、家庭用のクリーナーで元に戻すことはほぼ不可能です。

デニムからの色移りや、いつの間にか付いていたボールペンのインク跡、原因不明の黄ばみなどを見つけた時、家庭で無理に落とそうとするのは禁物です。

焦って擦ってしまうと、汚れを革の繊維の奥深くに塗り込んでしまい、プロでも手が出せない状態になりかねません。白いレザー製品の目立つ汚れは、「何もしないで、すぐにプロに相談する」が鉄則ですよ。


革製品の汚れに激落ちくんは使える?

革製品の汚れに激落ちくんは使える?

【メーカー公式警告】革製品に「激落ちくん」が絶対NGな理由

「激落ちくん」の製造元であるレック株式会社は、製品の公式な使用上の注意として、メラミンスポンジが不向きなものの一つに「光沢のあるプラスチック面」や「塗装面」を挙げています。革製品の多くは、表面に光沢を出すための塗装やコーティングといった「仕上げ層」が施されています。

メラミンスポンジは、硬いメラミン樹脂でできた目の細かい研磨剤であり、その原理は「汚れを削り落とす」というものです。革製品に使用すると、汚れだけでなくこの繊細な仕上げ層まで削り取ってしまい、その部分だけ光沢が失われ白っぽくなったり、色落ちしたりする原因になります。これは修復が非常に困難なため、メーカーも使用を推奨していません。

(出典:レック株式会社「激落ちくん」製品情報

キッチンの油汚れから水垢まで、驚きの洗浄力で人気のメラミンスポンジ(「激落ちくん」はその代表的な商品ですね)。「この力なら、革のガンコな黒ずみも落ちるかも!」と、つい手を伸ばしたくなる気持ち、よく分かります。

しかし、洗濯博士としては、革製品、特に本革にメラミンスポンジを使うのは絶対にやめてください!と強くお伝えしたいです。

メラミンスポンジが汚れを落とす原理は、洗剤の化学的な力ではありません。非常に硬いメラミン樹脂を発泡させて作られた、極めて目の細かい「研磨剤」、つまり「ヤスリ」なのです。水をつけて擦ることで、表面をミクロン単位で削り取り、汚れを物理的に除去しています。

【危険】メラミンスポンジが革製品にNGな理由

  • 表面の仕上げ層を削り取る:革製品の美しいツヤや色は、表面の繊細な仕上げ層(塗装やコーティング)によって保たれています。メラミンスポンジは、この大切な層を容赦なく削り取ってしまいます。
  • ツヤが消え、色落ちする:仕上げ層が削られると、その部分は光沢を失い、マットで白っぽくなってしまいます。もちろん、色も落ちてまだら模様になります。
  • 保護機能が失われる:仕上げ層には、革を汚れや水分から守るバリアの役割もあります。ここが傷つくと、外部からのダメージを受けやすくなり、かえって汚れが染み込みやすくなるという悪循環に陥ります。
  • 革自体を傷つける:力を入れすぎると、仕上げ層だけでなく、革の繊維(銀面)そのものを傷つけてしまい、ひび割れなどの致命的なダメージの原因になります。

一部の合成皮革(フェイクレザー)では使える場合もありますが、それでも目立たない部分でのテストは必須です。しかし、デリケートな本革への使用は「百害あって一利なし」。取り返しのつかない後悔をする前に、別の安全な方法を選びましょう。


革財布クリーニングのプロの料金相場

「自分でお手入れするのはやっぱり不安…」「高価なブランド財布だから失敗したくない」そんな時は、迷わずプロのクリーニングサービスに頼るのが一番です。

専門家は革の種類や状態を的確に見極め、最適な方法で洗浄・ケアしてくれます。では、その料金は一体どのくらいかかるのでしょうか。

革財布のクリーニング料金は、お店の方針はもちろん、財布のブランド、サイズ、革の素材(牛革、コードバン、エキゾチックレザーなど)、そして汚れや傷の状態によって大きく変動します。

ここでは、一般的な料金相場をサービス内容別にご紹介します。

サービス内容料金相場(目安)具体的な作業内容
①基本クリーニング5,000円 ~ 15,000円全体的な手垢や黒ずみ、内側の汚れなどを専用の溶剤で洗浄し、保湿・栄養補給で仕上げます。日常的な汚れならこれで十分キレイになります。
②キズ・角擦れ補修(リカラー)10,000円 ~ 25,000円基本クリーニングに加え、擦れて色が剥げてしまった角や、表面の細かいキズを特殊な塗料で部分的に補色・修復します。見た目の印象がぐっと若返りますよ。
③染め直し(全体リカラー)15,000円 ~ 30,000円日焼けによる広範囲な色褪せや、全体の色を変えたい場合に、財布を丸ごと染め直します。元の色に近づける「同色染め」が基本です。
④内側のクリーニングオプション:+2,000円 ~ 5,000円小銭入れの頑固な黒ずみや、カード入れ部分の布地の汚れなどを念入りに洗浄します。外側だけでなく内側もキレイにしたい方におすすめです。

ご覧の通り、簡単なクリーニングでも数千円から、しっかりとしたメンテナンスを依頼すると1万円を超えることが一般的です。

決して安い金額ではありませんが、「買い替えるよりは安い」「思い出の品を蘇らせる」という価値をどう考えるか。ご自身の財布の購入価格や、製品への思い入れなどを天秤にかけて、プロへの依頼を検討してみてくださいね。


革コートのクリーニング料金はどのくらい?

革コートのクリーニング料金はどのくらい?

革コートやレザージャケットといった衣類は、財布やバッグに比べて面積が大きく、デザインも複雑なため、クリーニング料金はさらに高額になります。また、衣類は皮脂や汗、食べ物のシミなど、より多様な汚れが付着しているため、専門的な技術が求められます。

こちらもブランドやデザイン、革の種類(ラム、シープ、カウなど)、着丈によって料金は大きく変動しますが、一般的な料金相場は以下の通りです。

革製衣類のクリーニング料金相場

  • レザージャケット・ブルゾン: 8,000円 ~ 20,000円
  • レザーハーフコート: 10,000円 ~ 25,000円
  • レザーロングコート: 12,000円 ~ 30,000円
  • ムートン・スエード製品: 上記に+3,000円~10,000円程度

これらの料金は、あくまで基本的なクリーニングの価格です。例えば、襟や袖口に付着した頑固な皮脂汚れの除去、カビの除去・殺菌、破れの修理、ファスナー交換などは、別途オプション料金が発生することがほとんどです。

特に、シーズンオフにはクリーニングと合わせて最長9ヶ月程度の「保管サービス」を提供しているお店も多くあります。自宅のクローゼットは湿度が高く、カビや型崩れのリスクが伴いますが、専門店の空調管理された環境で保管してもらえば安心です。

クリーニング料金に数千円プラスするだけで利用できる場合が多いので、保管場所に悩んでいる方は、こうしたサービスを積極的に利用するのも賢い選択ですよ。


白洋舎のバッグクリーニング料金の目安

クリーニング業界のパイオニア的存在である「白洋舎」は、その長い歴史と高い技術力で知られ、革製品のクリーニングにおいても多くの実績があります。大切なブランドバッグなどを預ける際の、安心できる選択肢の一つですよね。

白洋舎では、革製品専門の部署で、一点一点の状態を細かく診断し、最適なケア方法を提案してくれます。公式ウェブサイトでは具体的な料金表は公開されていませんが、これは革製品の状態が千差万別であるため、実物を見ないと正確な見積もりができないからです。

しかし、一般的な目安として、全国展開している大手クリーニング店の料金体系を参考にすると、通常の布製バッグのクリーニング料金の2倍~3倍程度になることが多いようです。

例えば、一般的な大きさの革バッグ(A4サイズ程度)のクリーニングで、15,000円~30,000円程度を見ておくと良いでしょう。シャネルのマトラッセやエルメスのバーキンといったハイブランドの製品、特殊な素材(クロコダイルやパイソンなど)を使用した製品は、さらに高額になる可能性があります。

白洋舎のような大手クリーニング店に依頼する最大のメリットは、やはりその圧倒的な実績と、万が一の際の補償制度がしっかりしているという安心感です。

多くの革製品を取り扱ってきた経験から蓄積されたノウハウは、他には代えがたいものがあります。料金は決して安くはありませんが、「このバッグだけは絶対に失敗したくない」という、あなたにとって特別な一品を預ける際には、最も有力な選択肢となるでしょう。

正確な料金を知りたい場合は、お近くの店舗に直接製品を持ち込んで、無料の見積もりを依頼するのが確実ですね。


革クリーニング家庭についてよくあるご質問FAQ

革クリーニング家庭についてよくあるご質問FAQ
革製品にカビが生えてしまったら、家庭で落とせますか?

表面の白カビ程度なら、固く絞った布で拭き取り、消毒用エタノールで除菌することで対処できる場合があります。ただし、根が深い黒カビは家庭では落とせないので、プロに相談しましょう。

革製品が雨に濡れてしまいました。どうすればいいですか?

すぐに乾いた布で優しく叩くように水分を拭き取ることが重要です。その後、形を整えて風通しの良い日陰で自然乾燥させてください。ドライヤーの熱を当てるのは絶対にやめましょう。

合成皮革(フェイクレザー)も同じ手入れでいいですか?

合成皮革は本革とは全く違う素材なので、手入れ方法も異なります。革用のクリームは使わず、水拭きや中性洗剤を薄めたもので拭くのが基本です。ただし、経年劣化で表面がボロボロになる特性があります。

洗濯博士ひなた

最後までお読みいただき、ありがとうございます!革クリーニング、奥が深いですよね。

でも、一番大切なのは「汚れたらどうしよう」と怖がるより、「こうすれば大丈夫」という知識を持って、日々の生活で革製品を思いっきり楽しむことだと思うんです。

この記事が、あなたとあなたの大切な革製品との、より良い関係づりのきっかけになったら、これほど嬉しいことはありません。さあ、まずは乾拭きから始めてみましょう!

革クリーニング家庭で実践する際のまとめ

  • 革クリーニングは家庭でもある程度までなら可能
  • 家にあるもので代用できるが基本は応急処置と心得る
  • ハンドクリームやニベアでの保湿は成分に注意が必要
  • 革クリーニングを自分でする基本は日々のブラッシングや乾拭き
  • 革製品を家で洗う方法はリスクが高く素材の見極めが重要
  • 革財布を自分でクリーニングする際はテストを忘れずに行う
  • 革財布の水洗いは中性洗剤を使い優しく押し洗いする
  • 100均グッズは便利だが品質を見極めて使う
  • 白いレザーの汚れ落としは変色リスクが高くプロ推奨
  • 革製品の汚れにメラミンスポンジ(激落ちくん)はNG
  • プロのクリーニング料金は財布で5,000円~、コートで8,000円~が目安
  • 白洋舎などの大手は安心感があるが料金は高めの傾向
  • カビや水濡れは迅速な初期対応がダメージを最小限に抑える
  • 合成皮革と本革の手入れ方法は全く異なるので注意する
  • どんな手入れも目立たない部分で試すのが鉄則

今日からできるアクションプラン

いきなり全てを実践するのは大変ですよね。まずはこの2つから始めてみませんか?

  1. 帰宅後の乾拭き習慣:バッグや財布を置く前に、メガネ拭きのような柔らかい布でサッと一拭きする。これを毎日の習慣にするだけで、汚れの蓄積が全く違ってきますよ。
  2. 月に一度の保湿デー:毎月1日など、日を決めて革製品の保湿メンテナンスをする。お肌のお手入れと同じ感覚で、革専用クリームを薄く塗り込んであげましょう。カレンダーに印をつけておくのがおすすめです!

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この記事を書いた人

「ひなたの洗濯ラボ」管理人、洗濯博士ひなたです🧺🌸
20年以上の洗濯経験と、数えきれない失敗&成功から学んだ“衣類を長持ちさせるコツ”を発信しています☀️

家庭でできる洗濯の工夫から、プロに任せたいメンテナンスまで、実体験ベースでやさしく解説中。
「洗濯をもっとラクに、もっと楽しく✨」をモットーに、皆さんの暮らしに役立つ情報をお届けします😊

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